中学女子バスケットボールの現場において、多くの指導者や選手が抱える悩みが「コンタクト(身体接触)への苦手意識」です。
「当たると痛い」
「吹っ飛ばされるのが怖い」
「ファウルになりそうで動けない」
こうした心理的な壁が、プレイの質を下げてしまうケースは少なくありません。
しかし、バスケットボールはルール上、正当な接触が認められているスポーツであり、コンタクトスキルは勝利への必須条件です。
本記事では、なぜ中学女子バスケにおいてコンタクトが重要なのか、その理由を明確にした上で、段階的に強くなれる具体的な練習法を解説します。

最初は誰だってぶつかるのは怖いものです。
私自身も現役時代は『痛いから嫌だな…』と思っていました。
でも、コツさえ掴めば『痛くない』し『逆に相手をコントロールできる』楽しさが分かってきます!
第1章:なぜ「コンタクト」が重要なのか?
まずは、コンタクトが必要な理由を論理的に理解することが大切です。
単に「根性論」でぶつかるのではなく、以下の3つのメリットを理解しましょう。
1. 得点力とキープ力の向上
オフェンスにおいて、ディフェンスのプレッシャーに負けていては、正確なシュートもパスもできません。
相手に体を当てて「自分のスペース」を確保する(シールする)ことで、安全にボールを受けることができます。
また、レイアップシュートの際に自らコンタクトすることで、相手のブロックショットを防ぎ、安定したフィニッシュが可能になります。
2. 怪我の予防(※重要)
「接触すると怪我をする」と思われがちですが、実は逆です。
中途半端に接触を避けようとしてバランスを崩した時こそ、足首の捻挫や膝の靭帯損傷などの大きな怪我につながります。
正しい姿勢で衝撃を受け止める準備ができていれば、大きな怪我は防げます。
JBA(日本バスケットボール協会)の育成指針においても、U15世代での身体操作の習得は怪我予防の観点から推奨されています。
3. ディフェンスの主導権を握る
ディフェンスでは、オフェンスの進行方向に対して体を正対させ、胸で受け止めることが基本です。
コンタクトを恐れて手だけで止めに行くと「ハンドチェッキング」などのファウルを取られます。
正しく体を当てることは、ファウルをせずに相手を止めるための技術です。
第2章:中学女子特有の課題と指導のポイント
男子と異なり、女子中学生には特有の身体的・心理的特徴があります。
これを無視して激しい練習を強いると逆効果になります。
1. 身体的な変化(成長期)
中学生女子は第二次性徴期にあたり、身長の伸びや体つきの変化が著しい時期です。
骨格筋の成長に対して筋力が追いつかず、バランス感覚が一時的に低下することもあります(クラムジー現象)。
そのため、いきなり強度の高いぶつかり合いをするのではなく、「体幹(コア)」を意識させるトレーニングが前提となります。
2. 心理的な抵抗感
女子選手の中には、他人と激しくぶつかること自体に心理的な抵抗を持つ生徒もいます。
「痛い=悪いこと」ではなく、「痛くない当たり方がある」「当たることはバスケの一部」という認識に変えていくための段階的な指導が必要です。
第3章:段階別!コンタクト強化の練習メニュー
ここでは、接触に慣れていない選手でも安全に取り組める練習法を、レベル1〜3の段階別で紹介します。
【基本姿勢】パワーポジションの確立
すべての練習の基礎となるのが「パワーポジション」です。
- 足は肩幅よりやや広く開く
- 膝を軽く曲げ、お尻を少し落とす
- 背筋を伸ばし、頭を下げない
この姿勢が取れていないと、どんなに練習しても当たり負けします。
まずはこの姿勢をキープできるか確認してください。
レベル1:静止状態での押し合い(恐怖心の除去)
まずは動きの中でなく、止まった状態で「力を伝える・受け止める」感覚を養います。
① パワーポジション相撲
- 二人一組になり、向かい合ってパワーポジションを取る。
- お互いに両手を組み(または肩を押し合い)、相手をその場から動かそうと押し合う。
- ポイント: 手だけで押さず、地面を足で捉えて、下半身からの力を伝えること。
② メディシンボールの引っ張り合い
- 二人で一つのボール(またはメディシンボール)を挟んで持つ。
- 合図とともに奪い合う。
- ポイント: ボールを強く握る力(把持力)と、相手に引っ張られても体勢を崩さない体幹の強さを養う。
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中学生女子の場合、硬いゴム製ではなく、突き指のリスクが少ない『ソフトタイプ』がおすすめです。重さは無理なく扱える1.5kg〜2kgから始めるのがベストです。

レベル2:動きの中でのコンタクト(ハンドリングとの連動)
次に、ドリブルや動きを加えながら接触を行います。
① コンタクト・レイアップ
- レイアップシュートのコースに入り、コーチやディフェンス役がダミー(コンタクトバッグ)で軽く当たる。
- シューターは逃げずに、自分からダミーに体を預けるようにしてシュートを打つ。
- ポイント: 空中でバランスを崩さないこと。
接触の瞬間に「フッ」と息を吐いて腹圧を高めると安定します。
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生身の体でぶつかり合うと、どうしてもアザができたり怪我のリスクがあります。恐怖心を取り除くためにも、コンタクトバッグ(ダミー)を使って、思い切りぶつかる練習をするのが上達への近道です。
② ドリブル・ショルダーアタック
- ドリブルをしながら、横にいるディフェンス役(ダミーを持つ)に対して、肩(ショルダー)からぶつかりに行く。
- ポイント: 「シリンダー」の概念を理解する。
- 用語解説:シリンダー … プレイヤーがフロア上の位置を占めた時、その真上の空間(円筒状の空間)のこと。
自分のシリンダー内での接触は正当なプレイです。
- 用語解説:シリンダー … プレイヤーがフロア上の位置を占めた時、その真上の空間(円筒状の空間)のこと。
- 相手を弾き飛ばすのではなく、自分の進路を確保するために肩を入れる感覚を掴みます。
レベル3:実戦形式(1on1)
最後は制限を設けた1対1で、実戦的な強さを身につけます。
① サークル内 1on1(相撲バスケ)
- センターサークルやフリースローサークル内のみを使用。
- オフェンスはドリブルをキープし、ディフェンスは正当なコンタクトでコースを塞ぐ。
- 5秒間キープできればオフェンスの勝ち、サークルから出せばディフェンスの勝ち。
- ポイント: 狭い空間でのコンタクトに慣れ、背中で相手を感じる(シールする)感覚を養う。
② ゴール下・ノードリブル 1on1
- ゴール下(ペイントエリア内)で、ドリブルなしの状態からスタート。
- オフェンスはピボット(軸足を固定して動くこと)とフェイク、そしてコンタクトを使ってシュートスペースを作る。
- ポイント: ボールを動かすと取られるので、「体を動かして」ボールを守る技術が必要です。
第4章:指導者が注意すべき「安全管理」と「ルール理解」
コンタクト練習を行う際、指導者が徹底すべき事項があります。
1. 正しい「当たり方」の指導
絶対にやってはいけないのは、「手や肘」での打撃と、「膝」への接触です。
コンタクトは基本的に、筋肉量の多い「肩」「胸」「腰(お尻)」で行います。
骨同士が当たると激痛を伴い、怪我の原因になります。
「面で当たる」イメージを持たせることが重要です。
2. ルールの明確化
練習ではファウルかどうかの基準を明確にジャッジしてください。
- OK:オフェンス進行方向に入り込み、胸(胴体)で受け止めた接触。
- NG:遅れて入って横からぶつかる、手で叩く、相手を押す(プッシング)。
「ナイスコンタクト!」と「それはファウル!」を明確に声かけすることで、選手は基準を学習します。
3. 体格差への配慮
中学女子は成長の個人差が大きいです。
練習ペアを組む際は、身長や体重が近い選手同士で行わせてください。
過度な体格差がある場合、怪我のリスクが高まります。
まとめ:強いフィジカルは「技術」である
コンタクトの強さは、単なる筋力や体重だけでなく、「タイミング」「姿勢」「勇気」という技術によって作られます。
中学女子バスケットボールにおいて、コンタクトを恐れずにプレイできるようになれば、個人のスキルアップはもちろん、チーム全体のディフェンス力・得点力も飛躍的に向上します。
本記事の要点まとめ
- コンタクトは怪我予防と勝利のために必須。
- 基本は「パワーポジション」の維持。
- 静止状態→動きの中→実戦と段階を踏んで練習する。
- 指導者は安全な当たり方(面で当たる)を徹底させる。
日々の練習に少しずつコンタクトメニューを取り入れ、当たり負けしない強いチーム作りを目指してください。

コンタクトは一朝一夕では強くなりませんが、日々の積み重ねで必ず当たり負けしない体が作れます。
怪我には十分気をつけて、まずは『パワーポジション』の意識から始めてみてください!応援しています!
注:この記事はAmazonアソシエイト・プログラムに参加しています。ゆう住宅設計室は、適格販売により収入を得ています。


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