「うちのチームは絶対的なエースがいないから、なかなか点が取れない…」
「選手たちの身長が低いから、リバウンドも取れず攻撃が続かない…」
中学女子バスケットボールの指導者や選手の皆さん、こんな悩みを抱えていませんか?
身体能力や経験に差が出やすい中学生年代では、特定の選手に頼ったオフェンスは行き詰まりがちです。

教えている中学校では、どうしても上手な子が中心で試合が動いていて、その子の調子が良い時は勝てますが、徹底的にマークされたり、不調だったりすると、チーム全体の攻撃が止まってしまいます。
『他の選手たちがもっと自信を持ってボールに関われたら、チームはもっと強くなれるのに…』と、常々感じています。
同じようなチームにこそ強くおすすめしたいのが、「サークルモーション」というオフェンス戦術です。
サークルモーションは、5人の選手が連動して動き、コートを広く使うことでディフェンスを揺さぶり、全員の力で得点チャンスを生み出す戦術です。
この記事では、サークルモーションの基本から、中学女子バスケで導入すべきメリット、そして具体的な練習方法まで、徹底的に解説します。
この記事を読めば、あなたのチームは「個」の力に頼るチームから、選手一人ひとりの長所を活かし、チーム全員で戦う「組織」へと生まれ変わるはずです。
第1章:サークルモーションとは?「全員バスケ」を実現する基本を徹底解説
サークルモーションとは、その名の通り、5人の選手がコート上で円(サークル)を描くように動きながらパスを繋ぎ、攻撃のチャンスを作り出すオフェンスシステムです。
特定の決まった動き(セットプレー)とは異なり、選手が相手ディフェンスの状況を「見て、判断し、反応する(Read & React)」ことが求められます。
基本的な動きの原則
サークルモーションの動きは、大きく分けて2種類しかありません。
- ボールマンの動き: ドライブを仕掛けるか、味方にパスを出します。
- オフボールマンの動き(ボールを持っていない4人):
- ボールマンがドライブしたら、その動きに合わせてスペースを空けたり、パスをもらえる位置に動いたりします(これをサークルムーブと言います)。
- 味方からパスを受けたら、シュート、ドライブ、さらにパスという次のプレーを判断します。
- ボールマンがドライブしたら、その動きに合わせてスペースを空けたり、パスをもらえる位置に動いたりします(これをサークルムーブと言います)。
このシンプルな原則を全員が共有し、連動することで、ディフェンスは誰をマークすれば良いか混乱し、ノーマークの選手が生まれやすくなるのです。
特にドライブに対して他の選手が円を描くように動く「サークルムーブ」は、オフェンスにおいて非常に重要な合わせの動きとなります。
【専門用語解説:モーションオフェンス】
特定の決まった動きを繰り返す「セットプレー」とは対照的に、選手の判断に基づいて流動的に動き続けるオフェンス戦術の総称です。
選手個々のバスケットボールIQ(判断力)が重要になります。
第2章:なぜ中学女子に最適?サークルモーションを導入すべき5つのメリット
サークルモーションは、育成年代である中学生、特に女子チームに多くのメリットをもたらします。
メリット1:特定の選手に依存しない「全員バスケ」が実現する
身長が高い選手やドリブルが得意な選手がいなくても、5人が連動することで得点機会を作り出せます。
全員がボールに触れる機会が増えるため、選手全員のモチベーション向上にも繋がります。
メリット2:バスケットボールIQ(判断力)が飛躍的に向上する
決まった動きをなぞるのではなく、常にコート全体の状況、特にディフェンスの位置を見て次のプレーを判断する必要があります。
この「Read & React」を繰り返すことで、選手の状況判断能力が自然と養われます。
メリット3:チームの連携が深まり、一体感が生まれる
サークルモーションは、味方の動きを予測し、お互いのためにスペースを作り合う「合わせ」のプレーが不可欠です。
練習を重ねるうちに、選手間のコミュニケーションが活発になり、チームとしての一体感が強固になります。
メリット4:スペーシングが広がり、個々のスキルが活きる
5人がアウトサイドに広がることで、コートの中に広いスペースが生まれます。
これにより、ディフェンス同士の距離が広がり、ドライブやカッティング(ボールのない選手がゴールに向かって走り込む動き)が非常に有効になります。
メリット5:バスケットボールの基礎技術が自然と身につく
サークルモーションを機能させるには、正確なパス、確実なキャッチ(ミート)、ボールをもらうための動き(Vカットやバックドアカット)など、基本的なスキルが不可欠です。
戦術練習を通して、これらのファンダメンタル(基礎)を反復して鍛えることができます。
第3章:サークルモーション成功の鍵!指導者・選手が押さえるべき3つの原則
サークルモーションをチームに浸透させ、試合で機能させるためには、以下の3つの原則を徹底することが重要です。
原則1:スペーシング(選手間の距離)を意識する
選手同士が近づきすぎると、ディフェンスもコンパクトに守れてしまい、ドライブやカットのコースがなくなります。
常に選手間の距離を4〜5m程度に保ち、コートを広く使う意識を持ちましょう。
これはディフェンスのヘルプを困難にし、1対1の状況を作りやすくします。
原則2:パス&ラン(パスをしたら動く)を徹底する
パスを出した選手がその場に留まってしまうと、オフェンスの流れが止まり、ディフェンスに楽をさせてしまいます。
パスを出したら、すぐにゴールに向かってカットする(Give and Go)、スクリーンをかけに行くなど、必ず次の動きを起こすことを習慣づけましょう。
原則3:オフボールマン(ボールを持っていない選手)の動きを止めない
オフェンスの成否は、ボールを持っていない4人の選手の動きにかかっていると言っても過言ではありません。
ボールマンが楽にパスを出せるように、ボールをもらうための動きを絶えず行ったり、味方のためのスクリーンをかけたりすることで、ディフェンスに的を絞らせないようにします。
第4章:明日からできる!サークルモーション習得のための段階的練習ドリル
いきなり5対5で複雑な動きをしようとしても、選手は混乱してしまいます。
まずは簡単な人数から始め、段階的に動きを体に染み込ませていくことが成功への近道です。
ステップ1:【2対2】パス&カットの基本
- 内容: 1人がパスを出したら、ディフェンスの裏を取ってゴールに向かってカット。
パサーはリターンパスを狙う。 - 目的: パス&ランの意識付けと、基本的な合わせのプレーを習得する。
ステップ2:【3対3】サークルムーブとスペーシング
- 内容: 3人が三角形の形を保ちながらパスを回す。
1人がドライブを仕掛けたら、残りの2人はスペーシングを保つように円を描いて動く(サークルムーブ)。
ドライブした選手は、合わせの動きをした味方にパスを出す。 - 目的: ドライブに対する合わせの動きと、適切なスペーシングを身体で覚える。
ステップ3:【4対4】オフボールスクリーンの追加
- 内容: 3対3の動きに加えて、ボールのないところで味方同士がスクリーンをかけ合う動きを取り入れる。
- 目的: より複雑な状況を作り出し、ディフェンスを崩すための選択肢を増やす。
ステップ4:【5対5】制限付きの実践練習
- 内容: 実際の5対5形式でサークルモーションを行う。ただし、以下のような制限を加える。
- 「ドリブルは3回まで」→ 安易なドリブルを減らし、パスを繋ぐ意識を高める。
- 「全員が1回ボールに触ってからシュート」→ 全員で攻める意識を植え付ける。
- 「パスをしたら必ずどこかにスクリーンに行く」→ オフボールの動きを習慣化する。
- 「ドリブルは3回まで」→ 安易なドリブルを減らし、パスを繋ぐ意識を高める。
- 目的: より実戦に近い状況で、判断力を伴った動きを身につける。
まとめ:チームを成長させる無限の可能性
サークルモーションは、単なるオフェンス戦術ではありません。
それは、選手一人ひとりの判断力を育て、チームワークを醸成し、バスケットボールの楽しさを再発見させてくれる「育成のシステム」でもあります。
習熟するには時間がかかり、最初はミスも多く出るでしょう。
しかし、指導者と選手が principes(原則)を理解し、粘り強く練習を続ければ、チームのオフェンス力は格段に向上するはずです。
エースに頼るバスケから、全員が主役になれるバスケへ。
サークルモーションで、あなたのチームの新たな可能性の扉を開いてみてください。
応援しています!


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